平成29年度施政方針

平成29年度施政方針

平成29年度施政方針(WORD:62.6KB)

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はじめに

 平成29年第1回志摩市議会定例会の開催にあたり、市政運営に臨む私の方針を申し述べます。議員の皆様をはじめ、市民の皆様とともに施政運営を進めて行きたいと考えておりますので、ご理解とご協力をお願いしたいと存じます。

国の経済動向と市の財政状況

まず、「国の経済動向と市の財政状況」について申し上げます。

 我が国の社会経済情勢は、景気の緩やかな回復基調が続いているものの、長引くデフレや少子高齢化などの構造的要因を背景に、雇用環境が改善する一方で、個人消費や民間投資は力強さを欠いた状況にあり、さらなる構造改革を進めることが強く求められております。
 こうした中、国では「一億総活躍社会」の着実な実現に向けて、「希望を生み出す強い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」のアベノミクスの「新・三本の矢」を放ち、「未来への投資を実現する経済対策」に最優先で取り組むとしております。
 また、平成29年度は、国が定める「経済・財政再生計画」の2年目に当たり、同計画に掲げる歳出改革等を着実に実行することとされており、予算編成に当たっては、聖域なき徹底した見直しを推進することとしています。また、それを踏まえて、地方においても、国の取り組みと基調を合わせ、歳出に関する徹底した見直しを進めることが求められています。
 総務省が平成28年8月に発表しました「平成29年度の地方財政の課題」で、経済・財政再生計画を踏まえ、「地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源総額について、平成28年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する」とし、また地方交付税についても、「本来の役割が適切に発揮されるよう総額を適切に確保する」こととしています。
 その結果、地方財政計画では、平成29年度通常収支分として86兆6,100億円、平成28年度と比較して8,500億円増の規模とし、一般財源総額では62兆803億円とし、前年度比0.7%の増を確保していますが、地方交付税総額につきましては、16兆3,298億円とし、前年度比2.2%の減となっています。
 このような状況において、本市の財政状況は、財政健全化法に基づく健全化判断比率における数値は改善傾向にはありますが、少子高齢化や人口減少等により税収入の増加が見込めないことや平成29年度は普通交付税の合併算定替による段階的縮減が3年目の5割縮減となり、ますます厳しい状況となっています。

市政運営の基本方針

 それでは、平成29年度「市政運営の基本方針」について申し上げます。
 平成29年度においては、さらなる発展のための施策の推進と持続可能で安定的な財政運営の両立を図るため、「志摩市創生総合戦略の実行」、「第2次総合計画の推進」そして「第2次財政健全化アクションプログラムの実行」の3つを市政運営にあたっての重要な視点とし取り組んでいきます。
(1)志摩市創生総合戦略の実行
 まず初めに、「志摩市創生総合戦略の実行」についてご説明いたします。
 国による持続可能な地域づくりと一億総活躍社会の実現に向けた地方創生の取り組みが加速化される中、今まさに地域の力が試されております 。そのような中、少子高齢化の進展に対応し、人口減少に歯止めをかけるとともに、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持するため、地方が自ら考え、責任をもって施策を実施していくことが求められています。
 特に人口減少対策は最重要課題であり、本市においても平成27年度に「志摩市人口ビジョン」をとりまとめ、45年後の将来展望を「地域の魅力を生かした産業を基礎に、自らの願いを叶える力強さを備えた市民が、つながりあって小さな地域とまちを支え、文化・伝統を守りながら、美しい自然とともに活き活きと暮らしている。」と示しました。
 また、人口ビジョンを踏まえて策定された「志摩市創生総合戦略」は、現在の本市に求められる政策分野を定め、基本目標および施策の基本的方向性を明らかにしたうえで、本市の講じる具体的な施策をまとめたものです。
 40事業の具体的施策のうち、平成28年度からは31事業の取り組みを進めており、さらに平成29年度は9事業について実施していきます。全ての施策について進捗状況の確認や事業内容の見直しを定期的に行いながら、着実に進めていきます。
 今後も「志摩市創生総合戦略」を十分に踏まえ、本市が持つ優位性や多彩な地域資源等を最大限に活用し、行政だけでなく、市民・団体・事業者が心を一つに、スピード感を持って積極的な事業展開により、その実行に最優先で取り組むものとします。
(2)第2次総合計画の推進
 続きまして、「第2次総合計画の推進」についてご説明いたします。
 平成28年度、今後10年間のまちづくりに関する基本的な方針を定めた第2次総合計画がスタートいたしました。
 志摩市を取り巻く社会情勢は前計画策定時から大きく変わっています。リーマンショック以降、地域経済は上向き傾向にあり、平成25年5月以降、有効求人倍率が1倍を超えるなど、全国水準を上回る高水準が続いていますが、少子高齢化・人口減少の加速により、第一次産業の担い手不足が深刻化しています。また、東日本大震災の発生を契機に、市が直面する災害のリスクが大きくクローズアップされるようになりました。
 第2次総合計画では、まちづくりのための6つの基本目標を掲げ、まちづくりの施策を実現します。また、厳しい社会情勢に立ち向かうべく志摩市独自の地方創生への取り組みを強化し、南海トラフ地震への備えを中心とした災害対策について優先的かつ横断的に施策を実施します。
(3)第2次財政健全化アクションプログラムの実行
 続きまして、「第2次財政健全化アクションプログラムの実行」についてご説明いたします。
 厳しい財政状況を乗り越えるためには、将来を的確に見据えた計画性の高い財政運営を実現することが極めて重要であり、将来にわたり持続可能な財政運営を実現するための指針である財政計画の目標達成に向けた予算編成に取り組む必要があります。しかしながら、大きな効果が期待できる事業には積極的に投資をし、抑制すべきところは抑制すると言った「選択と集中」の観点に基づく財政運営が、地域の活力を取り戻すためには必要であるため、市民の皆様をはじめ団体・事業者の大きな力を集結し効率化を図っていく所存です。
 これらの目標達成に向けて「第2次志摩市財政健全化アクションプログラム」の基本方針および個別方針に基づき、時には臨機応変な措置を取りながら、確実に取り組んでまいります。

志摩市創生総合戦略に基づく具体的施策

 それでは、平成29年度に重要施策として取り組む「志摩市創生総合戦略に基づく具体的施策」について、主要な事業をご説明いたします。
 志摩市の地方創生の目的を達成するための取り組みが、志摩市の「まち・ひと・しごと創生」です。この取り組みは、「ひとの育成」、「ひとの確保」、「まちの発見」、「しごとの強化」、「しごとの創出」、「まちの形成」の6つの政策分野に分類されます。
 人を育て、人材を内外から確保して、改めて地域を見つめ直すことで、今ある産業を強化し、新たなビジネスを起こしながら、住みよいまちをつくり、さらなる人の育成や人材の確保につなげていくという「まち・ひと・しごと」の循環を起こすことで、志摩市の地方創生の目的の達成を目指します。
1. 移住・定住促進(ひとの育成・ひとの確保)
 最初に、移住・定住促進を進めるうえで重要な政策分野であります「ひとの育成」と「ひとの確保」の特徴的な6事業についてご説明いたします。
 少子高齢化・人口減少によるまちの活力の低下が懸念される中、人口減少を少しでも抑制し、克服していくことが求められています。若者や子育て世代などから選ばれる、住みたくなるまちづくりを推進するためには、志摩市の魅力を積極的に情報発信することが大切です。そこで、「移住しやすい志摩づくり事業」としまして、移住希望者に本市の魅力を伝えるため、移住ガイドブックを作成し、各地の移住交流施設等へ配置します。また、首都圏等で開催される移住相談会やセミナーにおける情報発信の充実・強化に取り組んでまいります。
 新たな取り組みとしまして、本市に定住意思のある移住者を対象に、市内の住宅に居住するためにリフォームを行う際、その経費の一部を助成する「移住促進住宅リフォーム支援事業」を実施してまいります。また、「移住促進空き家改修支援事業」として、市内の空き家を住宅等として使用するための改修費用等についての補助を平成27年度から実施しておりますが、平成29年度からは、これまで県外からの移住者としていた対象を市外からの移住者に拡大して実施し、空き家の有効活用によって移住者用住宅を確保し、移住促進を図ります。
 次に、「IJUターン促進のための奨学金返済補助事業」としまして、日本学生支援機構または自治体が運営する奨学金を返済している市内に在住在勤の人に対し、返済負担軽減のための補助を行います。
 さらに、市民のパフォーマンス向上を図るため、起業や就職、就労に必要な資格取得を広く支援する補助金と起業や就職に有利となる市が指定する資格や免許の取得者に対し奨励金を「がんばる市民を応援する事業」として交付します。
 そして、若者が地域の魅力を再発見する機会や出会いの場の創出を促進するため「若者の集いと出会いの支援事業」としまして、市内で開催する若者が集うイベントに要する経費の一部を補助します。
2.雇用の創出・創業支援(しごとの創出)
 続きまして、雇用の創出や創業支援を進めるうえで重要な政策分野であります「しごとの創出」の3事業についてご説明いたします。
 当市の人口減少に歯止めをかけるためには、創業希望者が市内で創業しやすい環境づくりや働きやすい環境整備が必要です。そこで、「志摩市を元気にする創業・事業拡大支援事業」として、市内で創業または事業拡大を行う事業者に対して、事業の経営基盤を強化するための補助金を交付し、地域の仕事創出に努めます。
 また、「地域の仕事カケモチ型就業促進事業」として、それぞれ繁忙期の異なる第一次産業とほかの短期の仕事を兼業する働き方を実現し、年間を通して安定した収入を得ることを可能にする取り組みを行います。具体的には、市内の漁協や農協、真珠養殖漁協等の各組合からの求人情報等を集約してホームページ上で提供します。
 続きまして、平成28年度からの継続事業であります「志摩市におけるガイド業の創出事業」として、市内の自然や伝統、歴史、暮らし、街並みなどを題材にした有償のガイド業従事者を育成します。併せて、ガイド業を起業するための経営面や運営面での指導等も行います。
 以上が地方創生の具体的な施策として取り組む主な事業です。
 

主要な施策の概要

 続きまして、第2次総合計画において設定した6つの基本目標に沿った「主要な施策の概要」について、ご説明いたします。

1.自然とともに生きるまちづくり
 まず初めに、「自然とともに生きるまちづくり」です。
 志摩市の豊かな自然環境は、志摩の文化・伝統を形成するとともに人々の生活や産業の基盤となるものです。この素晴らしい自然環境を次世代へ継承するため、自然環境の保全に努めるとともに、自然と触れ合いながら環境教育にも取り組みます。さらに、伊勢志摩国立公園にふさわしい景観保全にも取り組み、環境共生型社会の構築を進めてまいります。
 この度、「鳥羽・志摩の海女漁の技術」が「磯部の御神田」、「安乗の人形芝居」に続き3つ目の志摩市における国の重要無形民俗文化財に指定される見通しとなり、1月27日に国の文化審議会の答申がありました。答申通り指定されれば、ユネスコ無形文化遺産登録に向けての弾みとなります。また、鳥羽志摩の海女漁と真珠養殖業が、自然や歴史と深く結びついた地域を象徴する産業であるとのことから「日本農業遺産」の認定に向けての取り組みも進んでおり、「人と自然の生業」の重要性が注目されています。
 そして、伊勢志摩国立公園70周年を迎えた昨年、環境省による「国立公園満喫プロジェクト」に選定され、伊勢志摩の魅力や自然の豊かさを改めて誇り思うとともに、全国各地の国立公園の先導的モデルとしての役割を果たすという重要な使命を与えられるなど、豊かな自然に人が暮らす地域としてますます脚光を浴びています。
 そのような中、国が推進する再生可能エネルギー発電事業が進み、市内でも大規模な太陽光発電施設設置に伴う開発行為が進んでおります。このような状況を危惧して市民の皆様から要望等もいただいており、志摩市の豊かな自然環境や生活環境の保全と再生可能エネルギー発電設備設置事業との調和を図る必要性を改めて認識し、条例の制定などを進めてまいります。
 
 「自然とともに生きるまちづくり」について、主な取り組みをご説明いたします。
アマモやアマモ場を象徴的なキーワードとして、海と沿岸域が抱える課題をテーマに、海の自然再生・保全を目指して毎年開催されている「全国アマモサミット」を志摩市で開催し、人と自然が共生し、自然の恵みとその生命が循環するまちづくりの推進を目指します。
 志摩用水の源水である天の岩戸から流れ出る水は、伊勢志摩国立公園内の中腹にある洞窟から湧出しており、名水百選にも指定されています。私たちの暮らしにおいて欠くことのできない貴重な財産である水を、日常生活はもちろんのこと、災害などの緊急時にも安全で安定的な水の供給ができるよう努めてまいります。
 また、川や海などの自然環境を守るために、し尿や生活雑排水、産業排水などを適正に処理することが求められていることから、合併処理浄化槽の設置を推進するための補助を実施してまいります。
 下水道事業の安定した経営実現のため、平成29年度から3カ年の継続事業により地方公営企業法適用に取り組み、平成32年4月から公営企業会計へ移行を予定しています。
 悪質な不法投棄現場やルール違反の多いごみ集積所等へ監視カメラを設置し、家電製品や粗大ゴミの不法投棄の抑止に努めるとともに、家庭用生ごみ処理機購入に要する費用の一部助成を行い、ごみの減量化に努めてまいります。また、ごみ処理基本計画に基づき、さらなるごみの発生抑制と分別への意識を高めてまいります。
2.安全・安心なまちづくり
 次に、「安全・安心なまちづくり」です。
 地震・津波をはじめとする大規模な自然災害の発生による被害を最小限にとどめるために、過去の災害の教訓に学び、地域の防災力を高めるべく、防災・減災対策を積極的に進めていきます。また、安全・安心な生活が送れる魅力的なまちを目指し、生活安全対策の推進や交通体系の整備を進めてまいります。
 
 主な取り組みについてご説明いたします。
 南海トラフを震源とする巨大地震の発生が懸念されている当地域でも、長期避難を見据えた避難所対策は喫緊の課題となっていることから、避難所開設の初動時から、避難者のプライバシー保護等を確保するため、避難所間仕切りや簡易トイレ等の避難所運営用品の備蓄をさらに充実していきます。また、東日本大震災で被災した地域の復興への取り組みや震災時の自治会等の役割、教訓等を学び、今後の地域の防災活動等に役立てていただくため、自治会等の皆様に気仙沼市や大槌町等の被災地を視察していただきます。そのほか、消防団の活動拠点となる消防団詰所や格納庫の施設整備および消防用自動車の更新を行い、消防団員が活動しやすい環境づくりを推進してまいります。
 交通体系の整備では、国道167号・鵜方磯部バイパスの平成29年度中の供用開始や五知・恵利原間の国道167号磯部バイパスの早期着工・完成を三重県と協働で推進してまいります。また、来月11日からの伊勢二見鳥羽ラインの無料化により、第二伊勢道路との一体性が向上し、災害時や緊急時における交通機能の確保をはじめ広域的な交流や誘客の促進、生活道路として利用する人の負担軽減などが図られます。
 空き家対策につきましては、近年、適切に管理されていない空き家等が防災や衛生をはじめ景観等、市民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることから、空き家等の利活用を推進するため、平成28年度に実施しました空き家等の実態調査に基づき、空家等対策計画を策定してまいります。
3.産業が元気なまちづくり
 次に、「産業が元気なまちづくり」です。
 志摩市の産業の特徴は、豊かな食材を生み出す農林水産業と美しい景観などの地域資源を生かした観光関連産業にあります。農林水産業と観光関連産業のつながりを強めながら、すべての事業者が志摩市の地域資源の価値をしっかりと理解し、魅力あるものとして消費者に提供していくよう産業振興に取り組んでまいります。
 
 主な取り組みについて、まずは農業振興について説明いたします。
 農業就業者の高齢化や担い手となる若年層の不足、農産物などの価格低迷等が相まって、農業経営が成り立ちにくい状況が続いており、耕作放棄地が増加し、景観保全の観点からも大きな課題となっています。
 そこで、市の特産品である「きんこ」の増産のため、きんこづくりに興味のある人を対象に「きんこ塾」を開講します。隼人芋の栽培からきんこの加工までの技術を伝授し、担い手となる農業者の育成を行い、6次産業化を推進していきます。
さらに新たな取り組みとしまして、「きんこ」のほか市の特産いちごである「レッドパール」の生産者が減少傾向にあるため、後継者不足解消の対策として、地域おこし協力隊を募集します。
 イノシシ等の有害鳥獣による農作物被害を防ぐため、国や三重県と連携し、電気柵購入費の助成や猟友会による有害鳥獣捕獲駆除などの対策を積極的に講じ、安心して農業ができる環境づくりを目指します。
 続きまして、水産業の振興についてご説明します。
 志摩市と鳥羽市、両市には約750人の海女さんがおり、これは全国のほぼ半数を占めておりますが、後継者不足が課題となっております。連綿と守り継がれてきた海女漁業を継承していくために、アワビを重点魚種と位置付け、アワビの種苗を放流実績のある地区に無償配布し、漁獲量の向上支援を行います。また、大型アワビ種苗の育成についても引き続き取り組みます。このほか、トラフグやマダイ、クルマエビ、ナマコ等、重要な水産資源の種苗放流事業に対しても継続して、市独自で補助を実施し、水産資源の保全に努めてまいります。
 さらに、水産業の担い手育成のため、地域おこし協力隊制度を活用して、的矢地区に協力隊員を受け入れ、地域におけるカキ養殖の担い手の確保を行っていきます。
 甲賀と志島地区は漁業担い手対策として、漁業就業希望者を受け入れ後継者育成に取り組んでおります。しかしながら、漁船係留場所は風や波の影響により安全に係留できる水域が狭いことから、突堤の新設工事を行います。
 真珠養殖業の振興につきましては、本市の基幹産業であり、英虞湾に浮かぶ真珠筏の風景は重要な観光資源でもあります。昨年、賢島で伊勢志摩サミットが開催されたことから、特産物の一つであるアコヤ真珠を養殖業発祥の地としてPRする絶好の機会が訪れています。また、ふるさと応援寄附の返礼品としても好評を得ていることから、このチャンスを積極的に捉え、真珠に携わる県内の関係機関や生産、卸し、小売りの各業者、各真珠組合と連携し「三重のアコヤ真珠の素晴らしさ」を全国に発信するためのイベントを首都圏等で開催いたします。
 続きまして、観光関連産業の振興についてご説明いたします。
 伊勢志摩サミット開催で向上した志摩市の知名度を生かし、伊勢志摩国立公園満喫プロジェクトと連動して、エコツーリズムやスポーツツーリズムなどに取り組む団体との連携を強化し、一人でも多くの観光客の皆様に志摩の食や美しい景観、快適な気候など、豊かな自然の恵みを実感し、楽しんでいただけるような観光関連産業の振興を図ってまいります。また、障がい者や高齢者の方が安心して楽しんで旅行ができるようバリアフリー観光にも力を入れ、観光客の増加につなげます。
 「第27回全国菓子大博覧会・三重」が4月21日から5月14日まで、伊勢市で開催されます。この博覧会は、ほぼ4年に1回全国各地で開催されており、三重での開催は初めてです。
 「お菓子がつなぐ『おもてなし』を世界へ」を大会テーマとして掲げ、「ツーリズムの起源」、「おもてなし文化が根付く地域」の歴史・文化が育まれている三重県の伊勢・鳥羽・志摩地域で、お菓子を通じて「おもてなし」の心を、広く日本、そして世界へと発信していきます。また博覧会を通じ、菓子文化や技術の継承・発展を図り、三重の「海の幸・山の幸」など広く三重の食文化も体感していただきます。                    
 スポーツ観光につきましては、「伊勢志摩ツーデーウオーク」、「伊勢志摩里海トライアスロン」、「伊勢志摩サイクリングフェステバル」、「志摩ビーチサッカーフェスタ」などの開催を支援し、スポーツのまちづくりを官民一体となって推進してまいります。
 友好自治体であります愛知県日進市民を対象に、宿泊施設の利用を助成し、宿泊客の拡大を図ります。
 インバウンド事業に関しましては、東アジアを中心とした地域からの誘致を継続すると共に、外国人観光客向け観光案内サイトを活用した情報発信、台湾高雄市からの教育旅行の受け入れ等を積極的に進めていきます。
 また、観光施設等改修事業として、安乗岬園地休憩所のバリアフリー化やトイレ洋式化を含めた大規模改修のための実施設計を行います。
4.誰もが健やかで助け合うまちづくり
 次に、「誰もが健やかで助け合うまちづくり」です。
 急速な高齢化が進展する中、市民一人ひとりが幸せに暮らすためには、健康寿命を延ばす体力づくりや予防医療の推進に努めることが大切です。また、障がいや年齢にかかわらず全ての人がいきいきと生活できるよう福祉の充実を図るとともに、子どもを安心して産み育てられる地域社会を構築するため、地域コミュニティの維持と強化を推進しながら、人権を尊重したまちづくりを進めてまいります。
 
 主な取り組みについてご説明いたします。
 市民の健康を支え、守るための取り組みとしましては、がん検診をはじめとした各種検診、「若者の健診事業」等を継続して実施し、さらに内容の充実を図ります。
 病院事業につきましては、平成29年度は、国民健康保険病院事業新改革プランを確実に実行することで、地域医療構想を踏まえながら伊勢志摩区域の基幹病院や医師会との連携を密にし、地域に必要な医療の提供と経営改善に向けて取り組んでまいります。なお、4月1日付けで総合診療医の医師1名を浜島診療所に採用することとなりました。今後も引き続き医療体制の充実を図ります。
 生活困窮者の自立支援につきましては、生活保護に至る前の段階において、個々の実情や状況に合わせ包括的・継続的に支えていく体制が重要であります。地域の関係機関や庁内の連携体制をさらに強化し、自立相談支援や就労準備支援、家計相談支援などの事業を効果的に実施し、生活困窮者が抱える課題が深刻化・複雑化する前に自立の促進を図るとともに、社会参加が促進できるよう、社会的な居場所づくりの確保を図ってまいります。
 地域の支えあいの力を高める取り組みとして、少子高齢化等の影響などでコミュニティが衰退しつつある地域において、身近な課題の解決のため、地域の人たちが関係を築き、互いに助け合う機運を高めるための「人づくり」、「場づくり」による支援を行います。平成29年度は、間崎地区の取り組みを継続するとともに、新たに和具地区でも事業を展開していきます。
 高齢者福祉につきましては、平成30年度から平成32年度までを計画期間とした「志摩市第7期介護保険事業計画および高齢者福祉計画」の策定に向け、高齢者がいつまでも住み慣れた地域で元気に暮らすことができるよう、生きがいづくりや在宅福祉サービスの充実を図っていきます。
 障がい者支援のための取り組みとしましては、障害者総合支援法に基づき、自立した日常生活または社会生活が送れるよう、障がいのある人すべてが利用できる福祉サービスの充実と推進を図るため、「第5期志摩市障がい福祉計画」および「志摩市障がい児福祉計画」を策定します。また、障がい者医療費助成について、これまでの県基準による助成に加え、市単独で知的障がいや精神障がいにおける助成対象を拡充します。
 また、発達障がい者の支援については、幼児期から切れ目のない支援の構築を図ってまいります。
 子育て支援のための取り組みとしまして、子育てに対する経済的な負担を軽減するために入院・通院に係る医療費を中学3年生まで助成します。また、子ども医療費助成制度について、医療機関の窓口で直接助成を受ける現物給付方式を導入すべく取り組みを進めていきます。
 志摩市保育所・幼稚園等再編計画に基づく幼保一体化施設の整備により、預かり保育における幼保園と単独施設の幼稚園との間に生じた格差の均衡を図るとともに、幼稚園と保育所に関する窓口をこども家庭課に一本化します。
人権を尊重したまちづくりの推進につきましては、平成28年度に改訂いたしました志摩市人権施策基本方針に沿って、時代に即した施策を講じてまいります。
 また、平成29年度から平成33年度までを計画期間として策定いたしました第3次志摩市男女共同参画推進プランを基に、男女が均等に社会のあらゆる分野で活躍できるまちづくりを推進してまいります。
5.人と文化を育むまちづくり

次に、「人と文化を育むまちづくり」です。

 次代を担う子どもたちが、健全にたくましく成長し、志摩市を誇りに思えるよう、地域の特性を伝える「志摩ならでは」の教育を家庭と地域が一体となり実践していきます。また、市民が生涯にわたって生きがいを持って暮らすために生涯学習・生涯スポーツを推進するとともに、世代間交流や地域間交流を通して地域の伝統文化の継承に努めてまいります。
 
 主な取り組みについてご説明いたします。
 教育の充実につきましては、確かな学力、豊かな社会性、健康と体力の調和のとれた児童生徒の育成を目指し、幼稚園教育や学校教育の充実に積極的に取り組んでまいります。
 学校再編や再編後の学校の整備については、志摩市立小中学校再編基本計画に基づき進めておりますが、立神・志島・甲賀・国府・安乗の5つの小学校の統合と東海・安乗中学校の統合が、平成30年4月に決定しました。地域に長年愛されてきた学校が閉校を迎える大切な時期となりますので、閉校行事等の検討や実施に向けた支援を行うなど、学校や保護者、地域の皆様と協議や取り組みを進めていきます。
 教育環境の整備については、老朽化が著しい磯部中学校の校舎大規模改造工事に係る実施設計を行います。また、児童生徒の健康や衛生管理と教育効果向上のため、普通教室等へ空調機器を計画的に設置します。平成29年度は、浜島・大王・志摩・鵜方・神明・磯部の6小学校と浜島・大王・志摩・文岡・東海・磯部の6中学校の空調機器設置工事の実施設計を行います。
 市内の小中学校において、地域についての学びを深めるために、体験的な学習や関係団体・地域産業・環境保全に携わる人々と連携した学習を進めることで、「志摩市が好き」、「将来は志摩市で暮らしたい」と思う子どもたちを育んでまいります。
 子どもたちの学習環境の整備の新しい取り組みとして、家庭環境等の影響で十分な教育の機会を得られない子どもに対し、地域と連携しながら放課後学習支援を実施し、将来への展望が持てるよう子どもたちの学びを支援していきます。
 続きまして、施設整備についての取り組みです。生涯学習・スポーツの中核施設として市民の皆様に愛され、第76回国民体育大会のボクシングの競技会場としても決定しております阿児アリーナは、平成3年の竣工から25年が経過し、建物や設備等の老朽化が進んでおります。この度、今後も安定的なサービスの提供を継続していくため、大規模改修工事を行います。これに合わせ、阿児アリーナは防災拠点としての機能を担っているため、かまどなどの防災機能を持ったベンチの整備に取り組んでまいります。その他、老朽化が著しい賢島スポーツガーデンのテニスコート2面の改修工事や志摩B&G海洋センターの屋根および外壁等の改修工事を行います。
 教育委員会分室につきましては、第2次財政健全化アクションプログラムに基づき、新年度から業務を支所の地域振興係と生涯学習スポーツ課へ引き継ぎます。施設の管理や貸し館業務など、地域にあるべき業務は支所へ、事業の企画立案など、効率化が図れるような業務は生涯学習スポーツ課へ集約いたします。施設利用や生涯学習講座の申請などは、これまでどおり各地域で行うことで、市民サービスの低下を招くことのないよう進めてまいります。
 平成33年度に開催されます第76回国民体育大会・三重とこわか国体につきましては、ボクシング、少年男子ソフトボール、トライアスロンの競技会場地として選定されております。平成29年度は、ソフトボール競技の会場となります長沢野球場と長沢多目的広場の施設改修に向けた造成工事設計業務および管理棟等改修工事設計業務を実施いたします。
6.市民のために市民と築くまちづくり
 基本目標の最後、「市民のために市民と築くまちづくり」です。
 少子高齢化と人口減少が進行し、市税収入の減少と社会保障費の増大が予想される中、今後さらに多様化・高度化する市民のニーズにも対応できるよう行政サービスの向上に取り組んでまいります。また、市民が主体的に地域の発展を担っていけるような体制づくりに努め、市民と事業者、行政が連携した市民のためのまちづくりを進めてまいります。
 
 主な取り組みについてご説明いたします。
 全国各地の皆様からお寄せいただいているふるさと応援寄附金につきましては、伊勢志摩サミット開催によるPR効果等により、平成28年度に引き続き大変好調であります。昨年4月から12月までの実績をみますと、全国47都道府県の皆さまから、6,835件、5億3千2百万円余りのご寄附をいただきました。志摩市を応援してくださる皆様からの寄附金を地域振興や地域資源の保全等のために、感謝の気持ちを持って有効に活用してまいります。また、地域の特産品等を返礼品として贈ることで志摩市のPRや地域経済の活性化を進めてまいります。人口減少が続くなか、このように志摩市に興味を持ち、関わっていただける方々を関係人口と位置付け、志摩市の発展につなげます。
 市民一人ひとりが活力を持って生活するためには、地域の結び付きを強め、住民同士の支え合いを促進していくことが大切です。市内49の自治会の皆様には、日頃から自主防災活動や地域活動だけでなく、地域住民と行政とのパイプ役としてさまざまな場面においてご尽力いただいており、引き続き各自治会による住民自治活動の推進および向上を支援してまいります。
 昨年5月に開催された伊勢志摩サミットの資産を次世代に引き継ぐ場として近鉄賢島駅2階に設置される「伊勢志摩サミット記念館」を運営していきます。
 記念館の基本機能としまして、伊勢志摩サミットの概要紹介や写真や映像のほか、実際に使用された調度品や県産材等の展示等を行います。さらに、賢島を起点とした周遊観光のための情報発信機能や次世代を担う子どもたちの学びの場を創出します。

当初予算の概要

 このような考えのもと、編成いたしました平成29年度「当初予算の概要」についてご説明いたします。
 一般会計の歳入につきましては、市税では、固定資産税や入湯税の減収が見込まれるものの、個人市民税や法人市民税の増収が見込まれることから、市税全体では前年度と比較して1,314万7千円増の55億4,545万4千円を計上いたしました。
 地方交付税のうち普通交付税につきましては、合併算定替による段階的縮減が3年目の5割縮減となりますが、合併特例債の元利償還金増額に伴う基準財政需要額算入額も考慮し90億円を見込みました。
 繰入金のうち基金繰入金では、財政調整基金繰入金は11億8,000万円、地域振興基金繰入金は2億9,000万円、ふるさと応援寄附金繰入金は2億5,370万円をそれぞれ計上いたしました。
 なお、公共事業の財源でもある市債につきましては、小学校建設や大規模改修事業などの大型事業の実施に伴い39億2,340万円を計上し、前年度と比較して16億5,420万円の増となっております。
 歳出につきましては、義務的経費である人件費は前年度と比較して1億324万5千円減の44億8,050万7千円となります。
 一方、物件費では用途廃止施設の解体撤去事業の実施などで、前年度と比較して3億6,124万6千円の増、補助費等では病院事業新改革プランに基づき計画的に資金不足を解消するための病院経営改善補助金を計上したことなどで1億6,373万8千円の増、繰出金では国民健康保険特別会計繰出金の増額に伴い1億9,008万円の増となっています。
 投資的経費につきましては、阿児町東部地区小学校建設事業で18億3,425万2千円、阿児アリーナ大規模改修事業で10億412万円をそれぞれ計上し、前年度より17億6,500万3千円の増となっています。
 その結果、平成29年度の当初予算における一般会計の歳入歳出予算額は278億2,723万2千円となります。前年度と比べ24億6,004万3千円の増額となり、前年度と比較して9.7%の増となりました。
 また、一般会計に5つの特別会計の合計額164億6,731万1千円と2つの企業会計の合計額38億445万7千円を加えると、480億9,900万円となりました。

おわりに

以上、平成29年度の市政運営について申し述べました。

 現在、国におきましては、地方創生を最重要課題に掲げ、人口減少の克服と地域の活性化に向けた対策が講じられてきております。本市におきましても、人口減少対策と地域活性化対策を最重要課題として捉え、費用対効果の高い効果的な施策を迅速に検討し講じるとともに、様々な主体との連携を強化した取り組みを進めていかなければなりません。
 大正時代にアメリカに渡った志摩町片田出身の浜野保雄翁は、日米開戦による収容所生活などの厳しい状況を乗り越え、会社を興し、日本風のあられやフォーチューンクッキーをアメリカ全土に広げました。その後、志摩地域からの移民者の応援や在米の三重県人会でも要職を歴任し、昭和34年の伊勢湾台風のおりには故郷に多額の義援金を贈り、復旧の大きな支えとなりました。これらの功績が認められ、昭和41年に県民功労者として表彰を受け、翌年には勲五等瑞宝章を受章されました。
 片田小学校に程近い場所にある浜野保雄翁を顕彰する銅像は、アメリカに向かって雄雄しく建っています。
 伊勢志摩サミット開催市の市民としての誇りを胸に、異国で頑張った先人のパイオニア精神あふれる魂やふるさとに対する思いやりの心を受け継ぎ、志摩市の諸課題に果敢に挑戦していきます。
 志摩市の目指すべき姿と進むべき道筋を市民の皆様と共有しながら、未来を見据えたまちづくりに向けて、志摩市のさらなる発展のため、直面する行政課題や多様な市民ニーズに的確に対応しながら、全力で市政運営に当たってまいります。
 市民ならびに議員の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げ、私の施政方針といたします。
 
志摩市長 竹内 千尋

 

お問い合わせ先

志摩市役所 政策推進部 市長公室
〒517-0592 三重県志摩市阿児町鵜方3098番地22
電話番号:0599-44-0200
ファクス:0599-44-5252
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